Ron's Backlog

奔放不覊

制約がある中で説明するという事

表現の技術―グッとくる映像にはルールがある
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**1.はじめに
最近、景気の悪化と競争激化が複合し、低額入札が多くなっている。技術的に可能である企業が受注できれば良いのだが、安かろう悪かろう…という事もあり、業務が頓挫する事もある。経済産業省管轄で発生していた1円入札ではないが、運転資金をプールするために低額入札を繰り返す、悪い状態に陥りつつある。
そのような状況下、「プロポーザル方式」と呼ばれる技術提案方式(プレゼンテーション主体の競争入札)が導入されつつあるが、やはり短時間で理解してもらうのは難しいものである。また、この業界*1は、真面目で昔気質が人も多く、なかなか大それた事も出来ないのが現状なのだが、そのような中でも表現する方法を変えていきたいと考え、参考がてら本書を読んだ次第である。
  
**2.広告業界との比較
表現する本を探すのであれば、書店に行けば多くの書籍が出版されている。この中で、広告業界*2の本書を選択したのは以下の理由に因る。
 ① 時間的制約がある
 ② 視聴者が必ずしも見聞きしたい訳ではない
 ③ 視聴者の見識がない製品・サービスを説明する

要するに、限られた時間の中で、興味を引きつけ、最大限の説明を行う事が目的となる事が広告業界と通じていると考えたからである。

**3.表現に必要な事
前項に示した理由を言い換えると、自身が必要とする目的は以下の通りとなる。
 「短い時間で(①)、惹き付けるコンテンツを作り(②)、売りたい製品・サービスを語る(③)」

**4.注意すべき事項
本書に書かれていた事だが、時間的制約がある中で物語を作ると、必ず飽きられてしまう。また、多くの事を盛り込みすぎると頭に入らない。トヨタの「Just In Time」ではないが、必要な情報を必要な時に必要な分だけ提供すれば70点はとれる。満点をy奥原ない事…、そこが大事なのだと感じた。
驚いたのは映画を分割して組み立て直す章の内容である。どのような映画も大きな筋立ては共通しているという。そして、その理論を使うとストーリーを加工しやすく、目的に応じた内容に簡単に書き直す事が出来る。

**5.まとめ
相手に理解してもらうという点において、面接や論文試験と攻略方法が似ているのかもしれない。確実に点を稼いでいくのだが、その中で惹き付ける要素を盛り込んでおく事が大事なのだろう。スティーブ・ジョブスはプレゼンする中で要点を絞り込む事が重要であると語っていたが、WWDCの様な信望者が多い場所であっても重要なのであれば、多くの場合は必須に近い要素なのだと感じた。
1日で読み終える程度のボリュームなのであるが、著名なCMを例に挙げ、絵コンテも多く掲載されているため、分かりやすく面白い本であった。

*1:土木業界を指す

*2:特にCM関連を指す