根回し

キャリア官僚の交渉術 (アスコムBOOKS)

キャリア官僚の交渉術 (アスコムBOOKS)


  
根回しというと悪く聞こえるけど、必要というか必須な事である。ネゴシエーションというと少し聞こえが良くなり、交渉というと別の意味にも聞こえる。でも、結局のところ根回しも交渉の一部であり、組織やチームにおいて潤滑に作業を進めていく上で必要な作業である。いわゆる個別ミーティングみたいなものなのだから。
本書を手に取った理由は、著者が陸前高田市の副市長を務めており、元キャリア官僚であった事。行政の中で、著者がどのように根回しをしているのか、参考になる点を探ってみた。
  
**1.はじめに
本書は、元キャリア官僚(内閣府参事官補佐)で、現在は陸前高田市の副市長を務めている。陸前高田市と言えば、東日本大震災で街全体がほぼ全壊する被害を被った事業体であり、復旧か再構築か…で話題にもなっている。マクロ的な視点で見れば、あそこまで壊滅的な被害を被ったのであれば、再構築するよりも他自治体への分散というのが最善のようにも感じるが、住民の思い等を考えると行政として、復旧もしくは再構築の手段を取るのだと思う。
  
**2.本書の構成
本書の構成は以下のようになっている。
+序章:「交渉」とは、今と未来をつなぐもの
+第1章:霞ヶ関流 相手を思うように説得する8つのテクニック
+第2章:なぜ、大物政治家を3分で説得できてしまうのか
+第3章:「ダメな上司」の対処法
+第4章:「ダメな部下」の対処法
+第5章:メール、話し方、スピーチ。交渉上手のコミュニケーション術
+第6章:実録!!圧倒的パワーをもつ「財務省」との交渉
+第7章:一般市民が行政を動かすには
+おわりに:チャレンジがあなたの未来を創る
  
**3.自分に置き換えてみる
同じテーマで他の書籍も多くあるが、本書の特徴は時間をテーマにしているところ。特に第1章・第2章では短時間で交渉するテクニックを重点的に紹介している。これらのテクニックは、そのまま利用できる訳ではないが、各々がアレンジすれば良い方向に導かれると思う。特に紙1枚のポンチ絵は私も使うが、企画書や起案書などをまとめるのとは別に、説明用に紙1枚で全体を示す絵を作成しておくのは必須に近い。この絵と事前説明のある/なしで、作業の流れが大きく変わる。
もう1つ、第6章では落とし所を見つける術が書かれている。この部分が交渉術なのだと思うけれど、Give&Takeを根底に置き、会話の中から相手の要求事項を的確かつ迅速に見いだせるか?がポイントになると思う。あとは、会話術になり、相手の出方や性格によって使い分ける必要があるので、本を読むよりも実践あるのみだと考える。
  
**4.最後に
全ての人に読んでほしいのが第7章である。マスコミを筆頭に行政に対して批評・批判をするが、自らが動こうとしていないように思う。全ての行政は窓口が設けられていて、要望や意見を出す事が出来る。出しても何も変わらない…という事も多かったが、昨今では外部監査等が定期的に行われており、何かしらのアクションや返答がある。本書の第7章には、行政に対する要望や意見を出して、反応を得るための方法や手段が数多く書かれているので、参考にしてほしいと感じた。
昨今では、Facebookなどを活用し開かれた行政に取り組んでる事業体が増えてきている。自分たちの街は、自分たちで考え、行政にフォローをお願いする気持ちで進んで欲しいと切に願っている。