拡張する空間

拡張する空間 建築家とITアーキテクトがつくるもの

拡張する空間 建築家とITアーキテクトがつくるもの

僕が入社して2年目の頃、就活用のパンフレットに先輩社員の話としてインタビューされたことがあった。その頃、社内の情報システム部門に居て、基幹系のシステム開発とかインフラの運用管理を主にしていた。
インタビューの中で「企業の中で情報システムってなんですか?」と言う質問があり、僕は「石垣です」と応えたのを覚えている。「石垣ですか…?」と続く問いに対し、「情報システムは企業の基盤でなくてはならないと思います。上にどの様な城が建つにせよ、安全で頑丈な石垣でなくてはいけないと思うんです…。」と説明した。
その頃から、企業の情報システムは、トヨタカンバン方式にあるように「必要な情報を、必要な人に、必要な分だけ」届ければ良くて、その情報を判断するのは人がすること。だから情報システムが全面に出るのではなく、あくまでも基盤に過ぎ無いようにしないといけない。ただし、企業は組織であるから情報を血液に例えれば、情報伝達が止まれば企業の一部が壊死する可能性があり、そうならないためにも安全かつ頑丈な石垣と例えたのだった。
今でも企業の情報システムは基盤であると考えていて、情報を円滑に循環させる一つのツールである。着眼点によって工程は変わるだろうが、システムを構築する以上、基本となる計画があり、詳細な設計を行い、様々な施工をし、補修等の維持管理が行われる構築物であると、僕も思う。
本書の対談、細かな部分は大きく異なると思う建築家とシステムアーキテクトの2人が、同じレベルの言葉で会話を重ねる。基本はシステムアーキテクトが建築家に歩み寄った感じに見えるが、至る所で建築家がシステムアーキテクトに歩み寄っている。なんだか異業種間の意思疎通が図られているようであり楽し気である。