イノセント・ゲリラの祝祭

イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7)

イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7)

イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)

イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)

やっと文庫化されたので読むことが出来た
我慢するくらいならハードカバーを買えって事なんだけど想いのは嫌
そう考えるとKindleなどの電子ブックもアリかもしれない…
  
さて、本書に戻ろう
言わずもがな、「チーム・バチスタの栄光」シリーズである。主人公である田口講師を取り巻く医師たちが問題提起を行っている。出てくる人がほとんど繋がっていると言うのは業界によくありがちなことなので、医療業界も枠から飛び出ている人たちは繋がっているのだろうと思う。
このシリーズの面白いところは、読み物として成り立つと同時に社会の問題提起を行っているところだと僕は思う。医療のことは詳しくないけれど、外傷が残ってなければ、ほぼ病死に近い形で処理されると言うことを先輩から聞いたことがある。本書ではそこに切り込んでいる。
死因特定が絶対必要だとは思わないが、残された者が望んだ対応を取ってもらえることが大事なのではないか?と感じる。本編の中でも、ここはキチンと述べられていて、「チーム・バチスタの栄光」での被害者遺族が田口講師にボヤくシーンがあり、知らなければ術中死を納得していたと言う。知らなければ良いことが、目の前に姿を表す…しかも、自分が意図していないのに…。これは辛いことだ。だから、その様な人間的な感情についても考慮したシステム(体系)を整えなければならないだろう。簡単に思いつくのは、真摯に話し合える場を設けることしかないが…。
  
本書のクライマックスで語られる彦根医師の話は、医療業界に限った話でなく、一般的なシステム(体系)にも言えることだろう。例えば、僕のような情報系の運用屋の観点から見れば、事故(トラブル)は発生するものだし、原因不明のものも多く存在する。全ての原因を突き止めるには時間と手間とお金が必要となってしまうので、原因究明はせず現状復旧のみに留めてしまう。このため、なるべく事故を起こさないようにする仕組みを施しておくことと、事故が起きた時に迅速に対応出来る体制づくりが必要なのである。
体系作りをしている人たちには、運用している人の苦しみは解らないだろうし、逆もそうだと思う。各々のスタンスで語るしかできないから様々な軋轢が生じてしまう。また、人は言葉にしなきゃ伝わらないし、言葉によって誤解がうまれることもある。本当に面倒で不自由だ。言葉だけじゃなくて、感情や経験も伝えることが出来れば良いのに…。
  
話が脱線してきたが、本書は読み物として楽しめるだけでなく、社会システムで起きている問題点を突いている。そして、それは医療業界だけでなく、他の業界でも同じような事があるのだと思う。登場している彦根医師のように人柱になれる勇気と強さを持ちたい。そして、今後の彦根医師の活躍を期待している。