借金取りの王子

借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)

借金取りの王子―君たちに明日はない〈2〉 (新潮文庫)

  
借金取りの王子を読んだ
以前に読んだ「君たちに明日はない」の続編である
物語は、リストラ会社に勤める若者の話
いわゆる人員整理専門の会社の物語である
  
この本の面白いところは、主人公である人員整理会社の社員真介と、その彼女陽子を中心に描かれているところ。それを取り巻く様々な企業の考えや、リストラ対象となった人々の心象が丁寧に描かれているため、各々の個性が活き活きとし、感情移入し易い。リストラの話なので明るい話ではないように思われるかもしれないが、主人公2人の底抜けの明るさと、リストラ対象となった人々のしなやかな強さが、物語自体を明るく盛り上げている。
  
世の中の大半の人が仕事をし、何かしらの柵に囚われて生活を送っている。その柵は所属企業(団体)であったり、地域社会であったり、親族であったり、友人・知人であったりと多様である。その中で、多様な個性、考え方を持つ人々が、相互作用しながら生きているのだろう。
この本に登場するリストラ対象者は、少なからずダメ人間ではない。各々が各々の信念の元に生きているものの、社会情勢や所属企業の柵と対象者との考え方がマッチしないために、柵の外に放り出されてしまう哀しい状況にある。
現在の社会情勢も、一昔前に比べれば悲惨な状態にある。悲惨な状態と言う程でもなく、本当は現状が普通であって、今までが良すぎたと考えた方が自然かもしれない。資本主義の競争社会の中にあって、営利団体(企業)がより良い人材を取りたがるのも至極当然のことなのだろう。そして、人は他の生命の上に生活をしていることを考えれば、自己努力をして得た何かを自然社会に還元していくことが義務なのではないだろうか…。才能や努力して成し得たものは、他の人々のために使うのが理想だと、最近考えている。
  
よく存在理由を考える人がいるのだが(僕もその一人なのだけど…)、本当は存在理由は考えるのではなく、一生涯かけて築きあげるものなのかもしれないな。そんなことを考えさせてくれる物語である。もっともっと頑張らないと…。
  
追記:
本書は、この曲でとじられる。僕も大好きな曲だ。
人にやさしく 〜THE BLUE HEARTS