白昼夢

  
前記のとおり、今日はスカウトの活動に参加
場所は観音崎青少年センター
  
少し疲れているのを感じつつ、道路に出てタバコを吸う
そこへ、懐かしい音がこだまする
ホンダのCB400Fの集合管の音
中学時代からの憧れの音・・・
  
記憶がまどろむ・・・

僕は愛車のRZに乗って海岸線を走っている
目を瞑っていても大丈夫なほど走りなれた道
江ノ島から鎌倉へと続く道を後ろに彼女を乗せて走っていく
  
海が少し暗くなってきて、街頭が明るくなってきている
『間に合うかな?』と彼女が呟く
『大丈夫だよ。これなら間に合う』僕が応える
  
稲村ヶ崎を抜け由比ヶ浜を右に見ながら、少しアクセルを開ける
由比ヶ浜の交差点を左に折れ、材木座の住宅街に入っていく
そのまま小坪のトンネルを抜け、逗子マリーナを横目に披露山公園*1へと坂道を登っていく
  
披露山公園の手前にある高級住宅街の門衛を無視し、少し大きめの音をこだましながら高級住宅街を抜けていく
行き先は突き当たりにある大崎公園
愛車を路肩に停め、二人で公園の中に入っていく
僕はヘルメットで潰れた髪を気にしていて、彼女は飛んだオイルが付いた鞄を気にしている
  
ドンッと腹に響く音が響き渡り、公園の奥から歓声が聴こえる
例年の鎌倉の花火大会が始まった
日本でも数少ない水中花火がある花火大会を、少し高い公園から見下ろすのが約束だった
  
彼女が友達に声をかけられる・・・
『背中、凄い事になってるよ・・・』
ん?彼女の背中を見やると、僕のバイクから飛んだオイルで真っ黒になっていた
『さいてー・・・、帰る!』
彼女は泣きそうな顔をして、足早に去っていく
  
僕は追いかけていき声をかける
『送っていくよ』
彼女は振り向きざまに言う
『もう無理。これ以上、メールも誘われるのも迷惑なの』
  
『言ってる事がよくわからない・・・』
泣きそうな顔で話す僕に、彼女は止めを刺す
『もう決めた事なの、あなたは過去の人なの』
  
僕は立ち尽くし、彼女が歩いていく先を目で追う
その先には見慣れた友達が待っていて、二人で楽しそうに話しながら去っていく
僕は何も出来ず、ただただ呆然と二人を見守る事しかできなかった

  
気付くと、タバコはフィルタぎりぎりまで燃えていた
白昼夢なのか妄想なのか、ただ単車の音を聴き、過去を思い出したに過ぎないのか・・・
出てきた彼女と鎌倉の花火大会には行っていない
RZの後ろに乗せた事も無い
たぶん、僕が疲れているのだろう・・・
もしくは単車に乗りたい気持ちが強くなってきているのかも
15年ぶりに、自転車か単車で一人旅に出たい、今日この頃・・・
  

*1:『彼女が水着に着替えたら』で織田裕二が原田知代を口説くシーンで出てくる公園ね